自宅から遠隔で接客?!分身ロボットカフェDAWNのOriHimeの接客体験

こんにちは!JIZAIE blog編集部です。
JIZAIE blogでは、世の中にある自在化技術をみなさんに紹介しています。

日本科学未来館の特別展示に訪問したことをきっかけに展示されていた分身ロボットOriHime(オリヒメ)に興味を持ち、実際に分身ロボットの接客の様子を見るべく「分身ロボットカフェDAWN(ドーン) ver.β (バージョンベータ)」に訪問してきました。

今回は、分身ロボットOriHimeの接客を体験について紹介していきます。

分身ロボットカフェとは

分身ロボットカフェDAWN

分身ロボットカフェDAWN 店内の様子

外出困難者である従業員が分身ロボット『OriHime』&『OriHime-D』を遠隔操作しサービスを提供をする、という新しい取り組みをしているカフェ。
テクノロジーによって、人々の新しい社会参加の形の実現を目指す「オリィ研究所」が運営。

2021年6月に東京・日本橋にオープンしてから現在も、「実験店舗」という形でOriHimeロボットの接客やオペレーションなどを工夫しながら運営されています。

どんな人が働いているか

分身ロボットカフェでは主に、外出困難者である従業員が分身ロボットのパイロット(操縦者)として働いています。
分身ロボットカフェDAWN では、OriHimeロボットを遠隔で動かして接客するスタッフを「パイロット」と呼びます。
パイロットは70名近く在籍していますが、パイロットになるには倍率が非常に高いとのこと。

今回、接客して下さったパイロットは「ことのは」さん、「けい」さん、「優羽」さんという方でした。
公式ページにパイロットのプロフィール紹介ページがありましたのでぜひご覧ください。

後述でも紹介していきます。

店舗システム・予約について

店内は3つの食事エリアがあり、エリアによって【接客内容】【営業時間/予約の要否】【提供メニュー】が異なります。

店内図

店内図(画像引用元:©DAWN CAFE)

A:OriHime Diner(オリヒメ ダイナー)エリア【予約推奨】
B:Tele-Barista(テレ – バリスタ)エリア【予約推奨】
C:CAFE Lounge(カフェ ラウンジ)エリア【予約不要】

食事をいただく場合やOriHimeの接客を希望なら、「OriHime Dinerエリア」の事前予約をお勧めします。
事前予約は、公式HPの予約フォームから可能。

軽食やカフェ利用の場合は、「CAFE Loungeエリア」が予約不要で気軽に利用できそうでした。
メニューが違うので、それぞれ訪れてみるのも面白そうです。

「Tele-Baristaエリア」は、火曜・土曜限定で予約を受け付けています。
バリスタロボット「OriHime&NEXTAGE」にパイロットが入り、遠隔で操作をしながら目の前で好みのコーヒーを淹れてくれます。
一緒にチョコレートもいただけるそう。コーヒー好きの方には、ぜひ訪れてみてほしいです。

Tele-BaristaとOriHimeの様子

Tele-Baristaは、もともとバリスタを夢見ていた方が体が不自由になってしまったことをきっかけに、遠隔でコーヒーを淹れられるロボットを開発されたそう。
全自動ではなく、人間の意思でお客様の好みに合わせたコーヒーを入れることができる点が特徴であり、「自在化」を実現しているといえます。

遠隔で注文を受け接客をする「OriHime」、ドリンクの配膳をする「OriHime-D」に加え、バリスタロボット「OriHime&NEXTAGE」が登場しサービスの幅、人間が遠隔でできることの幅が広がっています。

体験してどうだったか

来店の流れ

入口左手のOriHime

通常は、入店後に受付の OriHimeまたはOriHime-D に話しかけて予約名を伝えると、店員さんが席へ案内してくれます。
筆者が来店した時は、営業してすぐの時間だったため入口のOriHimeやOriHime-Dが起動していなかったため、直接店員さんが案内してくれました。

各客席には各1台ずつ小型の分身ロボット「OriHime」が設置されています。
着席すると、早速各テーブルに設置された「OriHime」が声をかけてくれます。

テーブルで接客してくれたのは「ことのは」さんというパイロット。
自己紹介ではことのはさんが分身ロボットカフェで働くことになったきっかけや、外出困難であっても人と関わり続け、社会で働くことができるパイロットの仕事の魅力を伺いました。

本来は、OriHimeの横に設置されている「プレゼンター」と呼ばれるiPadにスライドや写真を写して紹介をしているそうですが、筆者が訪れた際は店内すべてのiPadが不具合により停止していて、口頭での説明でした。
実験店舗なので、こういった予期せぬケースもよくあるそう。
臨機応変に対応できるのは、人間がパイロットを操作しているからこそだと感心しました。

テーブルのOriHimeの様子

自己紹介の後は、メニューを案内してくれます。
実際のメニューはこちら

メニューの特徴や人気のものなど、詳しく説明してくれます。
「一番人気のロービーバーガーはローストビーフが柔らかくて、女性でもペロリと食べられる方が多いですよ」
機械的な説明ではなく、ことのはさんの言葉で説明してくれるのが嬉しいです。

こちらも筆者の来店時は手元のメニュー表をもとに説明を受けましたが、本来はiPadに画像を映して説明をされています。

OriHimeに注文を伝えると、厨房に注文を飛ばしてくれます。

Orihime-D

自走型分身ロボット OriHime-D

注文後は、ドリンク配膳用の自走型分身ロボット「OriHime-D」がドリンクをテーブルへ。
OriHime-Dのパイロット「けい」さんも自己紹介をしてくれました。

料理が来るまでの待ち時間に店内やポイントカード等の説明を受けます。
そこで、OriHimeの操縦体験ができるコーナーがあることや物販コーナーのOriHimeと会話できることを知りました。

説明のほか、店舗に来店したきっかけなど、積極的に話しかけてくれてあっという間に料理がきました。
料理は店員さんが直接運んでくれます。

食事後には、物販コーナーのOriHimeとも会話をしてきました。

物販コーナーのOriHime

物販コーナーで接客してくださったのは、OriHimeパイロットの「優羽」さん。

物販コーナーの各所や受付に設置してあるOriHimeやOrihime-Dの中から、お客様が近くにいるOriHimeを優羽さん自身で選んで操縦しているそうです。
パイロットになってOriHimeの操作や遠隔で会話をすることに対して不便に感じている点はないか、という質問をした際に「不便に感じている点はない」と仰っていたのが印象的でした。
愛らしいフォルム、どんな方でも扱いやすい操作性、素晴らしい開発技術です。

ただ、ネットワークが弱い時には会話が途切れてしまうこともあるそうで、その辺りの課題はリモートワークであったり遠隔で通信する最大の課題だと言えます。

余談ですが、優羽さんは筆者の地元の近くにお住まいで、話が盛り上がり嬉しかったです。
カメラが趣味と仰っていてiPadで作品を見せていただきましたが、とっても素敵なお写真でした!

体験コーナーではOrihimeの操縦体験もしてきたので、そちらは別の記事で紹介したいと思います。

他のカフェと違ってどうだったか

分身ロボットカフェDAWN 店内の様子

分身ロボットカフェDAWNへ訪れる前は機械的なイメージを持っていましたが、実際にはその真逆ですごく人間味のあるカフェでした。

見た目は同じOriHimeロボットですが、パイロットの方により当然、声や個性も異なります。
パイロットの方が自分の意思で自分の言葉で接客・会話をしてくれるため、近くにいる人と同じ感覚で会話が出来ます。

モーションでリアクションをしてくれることやパイロット本人の声色が伝わることで、相手の表情が見えないことへの心配も特にありません。
遠隔での会話ですが、会話のラグがほとんどないことも近くにいる感覚になるポイントだと思います。

店内を見回してもOriHimeと楽しそうに会話をしている方が多く、「会話を楽しみにくるカフェ」という印象でした。
慣れた様子の方もいて、このお店やOriHime、パイロットの方を好きなことが伝わってきました。

カフェをきっかけにお客様とパイロットの間に繋がりや関係性が生まれることもあるそう。

またどのパイロットの方に質問しても「ここで働けてよかった」と仰っていて、従業員が生き生きと働かれている点もこの店の魅力だと思います。

こういったファンが生まれるのは、人間の接客だからこそ。
筆者も他のパイロットの方と会話をしに、また絶対に訪れたいです。

自在化について

自在化とは、機械によって拡張された能力を人間が自分の身体のように自由自在に扱えることを指します。

分身ロボットカフェDAWNでは、パイロットが各所に設置したOriHimeの中から自分の意思で自在に操縦し、接客をすることで人々の新しい社会参加を実現しました。

OriHimeは移動をしなくても近くにいるのと変わらないクオリティで接客ができる素晴らしい技術であり、自在化の社会実装の一例であると言えます。

終わりに

分身ロボットカフェDAWNでは、未来の働き方が見えてくると感じました。

ロボットを介して接客をしていただいても同じクオリティ、むしろ注文をとって料理を運ぶシンプルな接客よりも丁寧で、遠隔であることは全く気になりません。
体験として非日常を味わえるエンターテイメントだと感じます。
今は、非日常体験と感じていますが、これが日常の風景になるのも近いのではないでしょうか。

自在化は、さまざまな社会参加の形を実現する可能性に満ち溢れた技術です。

株式会社ジザイエでは、「すべての人が時空を超えて働ける世界へ」というミッションを掲げ、独自のテクノロジーを使って事業開発やコンサルティングを行っています。
自在化の社会実装を目指し一緒にサービス化を実現する仲間を募集しています。
自在化技術を用いたサービス開発や技術の応用についてご興味がある方は、以下の問い合わせフォームよりお問合せください。

今回訪問したのは…
▼分身ロボットカフェDAWN ver.β 常設実験店
[営業時間] 全日 11:00〜17:00(変動の場合あり、詳しくはHP参照)
[定休日]  月曜・木曜定休(※月曜・木曜が祝日にあたる場合は営業)
[住所]   〒103-0023東京都中央区日本橋本町3-8­-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3 1F

[席数]   約70席
https://dawn2021.orylab.com/

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hiromin
ライター

hiromin

自社サービスや受託開発のwebディレクターやQAとして活動。jizaie blogでOriHimeカフェの取材や稲見研究室への見学に行ったことをきっかけに「自在化身体技術」への興味が強くなりました。趣味は映画鑑賞や新しいものを体験することです。

nkz
監修者

nkz

SNS開発・運営スタートアップ企業で、コンテンツディレクターの経験あり。ガジェットや電子楽器・DJ機器をいじるのが好き。興味が湧いたら、とりあえず現場に行ってみたり、本を読んでみたりするタイプ。最新のテクノロジーの話題や新製品のニュースで、少し先の未来を妄想するのが趣味です。

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