メタバースとは? 注目されている理由や事例を紹介
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はじめに
年々注目度が高まり、インターネットだけでなくテレビなどでも耳にする機会の増えてきた単語「メタバース」。
2021年にはアメリカのSNS大手Facebook社が社名を「Meta」に変更しメタバース分野に大きな投資をすると宣言したことでも大きな話題となりました。
この記事では、「メタバース」についてまだ詳しく知らない方へ向けて、注目されている背景や活用事例などを紹介します。
メタバースとは?
実は、メタバースには現在明確な定義が存在しておらず、提唱者や研究者によってその意味は細かく異なります。
30年前に今の「インターネット」を定義することが難しかったのと同様、これから発展していく分野のため、「これがメタバース」とはっきり示すことのできる言葉がないのです。ですが、一般的によく語られるメタバースは下記のようなものを表しています。
- インターネット上の仮想空間にアバター(自分の分身であるデジタルキャラクター) で参加し、他者とコミュニケーションすること
- 他者とコミュニケーションがとれる仮想空間そのもの
- 仮想空間で行われるサービス全般
本記事では、上記のいずれかに当てはまるものをすべて「メタバース」として記載します。
簡単にまとめるのであれば「インターネット上など現実世界とは異なる場所に存在する仮想空間で何かをすることや、その仮想空間そのもの」と考えるとよいかもしれません。
この記事の背景や活用事例を読めば、メタバースの全体像をイメージすることができるでしょう。
メタバースが注目される背景
2023年現在、メタバースが注目を集めている最も大きな理由は「技術の進歩によってその実現が現実的なものになったため」と言えるでしょう。インターネットが高速化し音声や3Dアバターなどを含む大容量通信をリアルタイムに行うことができるようになったほか、VR技術の発展・低価格化により多くの人がVRの仮想空間に参加できるようになりました。
また、ブロックチェーン技術(※1)を活用した改竄不可能な証明書付きのデジタルデータ「NFT (Non Fungible Token / 非代替性トークン)」の技術が生まれたことにより、これをメタバース内の通貨として利用できる=メタバース内で経済活動ができるのではないかと考えられるようになったことも、注目されている背景のひとつです。
数多くの企業がメタバースへ力を入れており、先述の「Meta」社によるメタバース分野への投資は1兆円規模になると発表されているほか、2020年代末にはメタバース市場が1兆ドル市場になるとも予想されています。(※2)
※1 ブロックチェーン技術 (総務省ホームページ参照)
ブロックチェーン技術とは情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、「ビットコイン」等の仮想通貨に用いられている基盤技術を指します。
※2 メタバース1兆ドル市場へ 半導体や触覚技術にも商機(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2421Y0U2A420C2000000/
メタバースが活用する分野・事例
コミュニケーション
メタバースの代表的な活用事例は、「アバター等を用いて仮想空間上で対人コミュニケーションをとること」です。代表的な例としては「VR Chat」が挙げられます。VR Chatはその名の通り、VRゴーグル等を装着して自由なアバターでVRの仮想空間に入ることのできるサービスです。サービス内では他のユーザーと音声やチャットでコミュニケーションできるほか、機器によっては動きや表情まで表現することができます。日本では非常に人気のプラットフォームで、ピーク時には3万人もの人々がVRの仮想世界に接続しています。
そのほか、Microsoft社のビデオ通話サービス「Teams」をメタバース対応させ仮想空間上で共同作業ができる「Mesh for Microsoft Teams」なども存在します。
ゲーム
ゲームもメタバースと相性の良い分野のひとつです。VR等を用いて仮想空間で多くの人と同時にゲームを楽しむのはもちろん、オンラインマルチプレイ可能なサンドボックスゲーム(冒険や建築・農耕など、プレイヤーが自由に目標を定めて多様な遊び方ができるゲーム)「Minecraft」や「あつまれどうぶつの森」を「メタバース」の一種とする考え方もあります。
ショッピング・EC
仮想空間上で商品の売買ができるEC分野への活用も進んでいます。すでに実施された実績のあるイベントとして代表的なものは、先述の「VR Chat」内で行われる「バーチャルマーケット」でしょう。ユーザーはVR Chat内の専用のスペースにアクセスすることで、ブースを出展している企業や個人サークルの作品を楽しんだり、アバターやバーチャルアイテム・リアルの商品など様々なものを購入したりすることができます。バーチャルマーケットは国内のメタバースイベントとしては最大規模で、2022年12月に行われた「バーチャルマーケット2022 WINTER」では、全70社以上の企業が参加。 540サークル以上の一般出展が行われました。(※3)
※3 巨大メタバースイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」が明日スタート – 窓の杜 https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1460727.html
エンターテイメント
スポーツ観戦・音楽ライブ等のエンターテイメントも、メタバースの技術が発展すれば場所を選ばずに楽しむことができるようになります。すでにオンラインゲーム「フォートナイト」の中で国内外の有名アーティストがバーチャルライブを行なっている他、国内大手エンタメ企業のグループ会社であるエイベックス・テクノロジーズ株式会社は、世界最大級のブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」とパートナーシップ体制を構築し、2022年度中を目途にテーマパーク「エイベックスランド」を「The Sandbox」内にオープンすると発表しています。(※4)
※4 ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」に「エイベックスランド(仮称)」を構想 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000083684.html
メタバースのメリット・デメリット
多様な分野での活躍が進み、今後の発展が期待されているメタバースですが、良いことばかりではありません。メタバースのメリット・デメリットをそれぞれ紹介していきます。
メタバースのメリット
- 場所や空間を選ばずに現実世界に近い体験ができる
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- これがメタバースの最も大きなメリットと言えるでしょう。機器の性能向上によって、どこにいても没入感の高い体験ができるようになっています。
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- 仮想空間上でなりたい姿になれる
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- 現状ユーザーの多いメタバースサービスでは、好きなアバターで活動やコミュニケーションができることが多くなっています。生まれ持った姿にとらわれず、ありのままの自分自身を表現できる手段としてメタバースでの活動を選んでいる人も少なくありません。
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- 非日常の体験がしやすくなる
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- メタバースの普及によって、没入感の高いゲームやライブ・スポーツなど、非日常の体験をいつでも手軽に楽しむことができるようになります。
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- 移動のコストがかからなくなり、生産性が向上する
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- メタバースには、移動時間の概念がありません。同じサービス内であれば、別のワールド(仮想世界)に移動する際にかかるのは機器がワールドを読み込む時間のみで、電車や車を利用する必要はありません。例えばメタバース上に会社があれば、誰もが通勤時間を気にすることなく、出社しているのと同様の状態で働くことができるでしょう。
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メタバースのデメリット
- 技術的な制約がある
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- 日進月歩で発展しているメタバースとその関連技術ですが、現実世界をそのまま表現・体感できるようなレベルには達していません。「仮想空間で経済活動や生活をする」には、まだ技術的な制約が多く存在しています。
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- 導入のコストがかかる
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- メタバースの仮想世界に入るには、VR機器や高性能のPCなど最新技術を取り扱えるレベルの機器が必要です。それには相応のコストがかかるため、体感できるようになるまでのコストが高くなる傾向にあります。
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- 法整備が追いついていない
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- メタバースの世界には現実世界でいう「警察」が存在しないと言われています。現状は各サービスの運営社が独自のルールを設けたり、ユーザー同士による自治でコミュニティを維持していますが、ハラスメントの問題や青少年が引き起こすトラブルを防ぐ手段が整備されていないという問題が残されています。
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まとめ
本記事では、「メタバース」について注目されている背景や活用事例を紹介しました。
広く普及すれば私たちの生活を大きく変化させるであろう技術「メタバース」。
その進歩はめざましく、2020年代の後半には金銭のやり取りや労働などの経済活動までもが仮想空間内で行われ、人々が常時仮想空間状で生活するようになると想定しているレポートも存在します。(※5)
全ての人々がメタバースへ関与する未来になるかどうかはまだわかりませんが、現在多くの人や企業がメタバースへ参加・参入を続ける注目の技術であることは間違いないでしょう。
※5 メタバースの概要と動向 ~ビジネスシーンでの活用に向けて~(株式会社日本総合研究所 先端技術ラボ)https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/13531.pdf
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